座頭市 TAKESHI
一つのことをやっている人はこの人には勝てない。
少なくともエンタメにおいては。
現実には刀一本であんなに人や物をぶった切れるわけない。
おもしろさのためには嘘だってついたほうがいい。
時代劇を作ろうとしてタップダンスを用いようなんて誰が思うのだろうか。
本当のことを文献や史実に用いてそのまま語るのもよいけれど、
本当のことを語るために嘘をつくのだっていいじゃないか。終着点は同じ。
けれども目的は大いに異なるのだろう。結構。
好みなものは正しく評価できない。過ぎるか及ばざるか。
評価とはなんて恐れ多い言葉だろう。
しかし好みを捨て、博愛になった人間に魅力を感じないのは何故なんだ。
面白い偏愛は人に優しく、退屈な偏愛は身勝手なのだと信じたいが、それすらも好みに過ぎないんじゃないか。