『岸辺のアルバム』を観て
山田太一の作品は、いつも最後の最後まで登場人物の行動や言動にもどかしさを覚える。
人は問題に気がついていても、わずかばかり変われたらいい方だ。
100点はなかなかとれないものだと、その現実を再確認しているようだ。
ストーリーの骨組みを大雑把に捉えると、「問題→解決(破滅)」へと向かっていくことが多いが、山田太一の作品の骨組みは岸辺のアルバム含め、グラデーションがかっていて振り子が揺れるようにラストに向かっていく。
ハッピーエンドとも言い難く、しかしバッドエンドとも言い難い日常が今までとは少し形を変えて流れていく。
一定のクオリティが保たれる可能性の高い、複数人がアイディアを持ち寄りブラッシュアップする欧米型のシナリオ制作には出せない味だと思う。
私は、この靄のようなものを時折ぼうっと眺めていたくなる。